知的財産法 前期第4回
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講義の目的
実社会での研究開発やビジネス等で生まれた新しい創作物や商品、様々な行為には、一つの対象物について、多数の知的財産が多層的に生まれ、それらが、保護価値に応じて、様々な知的財産権によって保護されることを学びました。
今回は、その中でも発明・考案について説明します。そして、今回以降の授業は、特許法について説明します。意匠・商標・不正競争防止法は後期の知的財産法IIIで説明します。
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本日の課題
切り餅事件を元に、創作した設問です。
株式会社越前屋の商品企画開発部の本田さんは、社長の鈴木から新しい餅の開発を命じられている。
試行錯誤の末に、「側周表面の周方向に切り込み部を設けた切り餅」を開発した。同僚の豊田が「ライン餅」と名付けて発売することとした。さてどのような知的財産が生まれたのだろうか。
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それってパクリじゃないですか? 第3話から学ぶ
それってパクリじゃないですか・第3話は、特許侵害を避けて製品化する話。
月夜野ドリンク『ムーンナイトプロジェクト』の目玉商品『カメレオンティー』は、時間を置くと色と味が変わるというもの。亜季が侵害予防調査をすることに。
続きは、ここをクリック。
発明の定義
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実用新案法の考案との対比
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの
自然法則を利用した
技術的思想の創作のうち
高度のもの
技術的思想の創作のうち、自然法則を利用したもので、かつ、高度なものに限定していると読む
技術的思想
技術とは何か
一定の目的を達成するための具体的手段
「『発明』は技術的思想すなわち技術に関する思想でなければならないとしているが、特許制度の趣旨に照らして考えれば、その技術内容は、当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていなければならないものと解するのが相当」最高裁昭和52年10月13日判決 (昭和49年(行ツ)第107号 審決取消請求上告事件)
「実施可能性」、「反復可能性」、「具体性・客観性」が必要。
「技能」と区別される。技能とは人間がもつ技に関する能力であり、それを使って仕事などを行う行為。技術(知識)を使用し、作業を遂行する能力。
思想である
思想とは、「あるまとまった考え」
創作である
創作とは人為的作用により新しく作り出すこと
発見は除外:単に既存のものを見つけ出したに過ぎないものは発見であって発明とはいえない
天然物から人為的に単離した化学物質、微生物などは、創作したものであり、「発明」に該当する
用途発明:「既知の物質のある未知の属性を発見し、この属性により、 当該物質が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明」東京高裁平成13年4月25日判決(平成10年(行ケ)第401号 審決取消請求事件)
用途発明は、既知の物質のある未知の属性を発見し、この属性により、当
該物質が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明であると
解すべきである。なぜなら、既知の物質につき未知の属性を発見したとしても、そ
れによって当該物質の適用範囲が従来の用途を超えなければ、技術的思想の創作で
あるということはできず、また、新たな用途への使用に適するといえるものでなけ
れば、適用範囲が従来の用途を超えたとはいい難いからである。
自然法則を利用している
自然法則:自然界において、経験上、一定の原因によって一定の結果が生じると いう経験則
利用:役立たせる
自然法則そのものは発明ではない
自然法則に反するものも発明ではない
自然法則の利用性なしの例
単なる精神活動
純然たる学問上の法則
人為的な取り決め
自然法則を利用しているということは、自然科学上の因果律に従っているということですから、反復してかつ継続して一定の結果が実現される可能性が要求される。
反復可能性:「その特性にかんがみ、科学的にその植物を再現することが当業者において可能であれば足り、その確率が高いことを要しない」黄桃の育種増殖法事件:最高裁平成12年2月29日判決(平成10年(行ツ)第19号 審決取消請求事件)
高度のもの
実用新案法第2条1項の考案の定義では、「この法律で考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう」との区別
発明は実用新案法の保護対象より高度であると言いたい・・が、考案には発明が含まれることに注意。
ここでは高度性は主観で足りる、実際は、進歩性の審査により問われる
発明該当性は、第 29 条第 1 項柱書に規定された「発明」であるか否かとして拒絶理由・無効理由とされる。
発明の例
皆さんが発明だと思うものを列挙してみよう。
その発明について、特許庁に出願・登録されているか、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)調べてみよう。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
J-GLOBALという科学データベースであたりをつけるという調査方法もある。
例題1
https://gyazo.com/0e33fd591337aa870532f931f6738be8
解
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授業補助ですので授業中に講師が開いて閲覧してもらいます。
例題2
パッティングの方法は日本の特許法で保護されるか?
https://gyazo.com/e3302ab614040500c07bec254d730ec7
009936d9]
例題3
プロレスの決め技
https://gyazo.com/d5aba782e1c62f3ac81ba5acd3913c54
例題4
天気を晴天にする方法
https://gyazo.com/620defe92a0d8b2197ae8338614e670c
例題5
資金別貸借対照表
https://gyazo.com/064560c23d089d30ab31858c141647f5
例題6
https://gyazo.com/0d65334168ae7cf2ade13c073eb1dd4d
例題7
https://gyazo.com/2bfdec2f7f955099dc634c82af17f952
例題8
https://gyazo.com/10af3ddc72a43769f80b1436d2ac0a35
https://gyazo.com/1d71b5e8089f0f00e24c91661557f735
例題9
ステーキ関係で、こんなのもあります。
https://gyazo.com/576f9e66d213d25eff764882f7bc6401
例題10
https://gyazo.com/da8ed8aabc113c74a31dc42b16acec3f
例題11
https://gyazo.com/2ed1ed0093d6377c952cac74d3ed5a53
この方法をもとに、システム化した。
https://gyazo.com/94ceb22c0acb22cda6098e063f59a229
特許された例
https://gyazo.com/42f0cc70da8c61950ffd8b033af61b90
https://gyazo.com/4ec6ee42f8a8db383f4922f802a9bc8c
演習問題
次に示したゼム・クリップが発明だとしたら、どういった点が
発明として認識されるのであろうか。検討してください。
https://gyazo.com/a8f11ba5e672a75bf8a116e30d24632c
https://gyazo.com/b2de7b828388fc4543f425f143c8ecf5]
知的財産法各法の法目的
https://gyazo.com/992815d3c58036aa6dbdf907ffc91755
https://gyazo.com/b57accea471b01bc8535501ab1376f57]
https://gyazo.com/783fd12706437a73ad2dadfe2506fdae]
https://gyazo.com/1dbb95227c819e4ba64c29c64ccc5f0c]
米国特許法での発明の定義
https://gyazo.com/6740f6014c1ef1d893a47ccfc740d942]
https://gyazo.com/456742fb095b40f1bd646dd81a65e465]
https://gyazo.com/312b3a51de5ea90f6b0fe40e9297994e]
実用新案法の考案
https://gyazo.com/f5d464da3082673550276cb5a4597217
実用新案の概念
実用新案とは、物品の形状、構造又は組合せに係る考案
発明と考案の対比
https://gyazo.com/4415196e561207c54cc05b355c688c95
発明も考案も自然法則を利用した技術的思想の創作である。
そのうち「高度」なものが発明
高度なものも含む「考案」のうち「物品の形状、構造又は組合せに係る」ものが実用新案
物品の形状、構造又は組合せ
「物品」とは、空間的に一定の形を保有したもので、一般に商取引の対象となる自由に運搬可能な商品で使用目的がはっきりしたものである。なお、機械や装置などと分離して取引されるようなもので、前記の条件を満たすものであれば、その部分を「物品」とみてよい。
「形状」とは、外部から観察できる物品の外形をいう。換言すると、線や面などで表現された外形的形象をいい、例えば、カムの形、歯車の歯形、工具の刃型のようなものである。
「構造」とは、物品の機械的構造を意味し、いわゆる物品の化学構造のようなものを含まない。換言すると、空間的、立体的に組み立てられた構成で、物品の外観だけでなく、平面図と立面図とにより、場合によっては更に側面図や断面図を用いて表現されるような構成である。道路や建築物などの構造も、物品に関する構造として取り扱われている。
「組合せ」とは、単独の物品を組み合わせて使用価値を生ぜしめたものをいう。詳しくは、物品の使用時又は不使用時においてその物品の二個あるいはそれ以上のものが空間的に分離した形態にあり、またそれらのものは、独立して一定の構造又は形状を有し使用によりそれらのものが機能的に互いに関連して使用価値を生む場合である。例えば、ボルトとナットからなる締結具。
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